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最早誰やねんお前状態。
腰抜け王子に傷物姫、なかなか似合いの二人よと嘲弄を含み囁く声の間を愛想笑いで通り過ぎ、或いは自ら話に加わり場の毒気を煽る方へと盛り上げる。
豪華絢爛な光の海を気の向くままにぶらつき眺めれば、すれ違う人間達までも皆空気の泡に等しい意味のない戯言をぷかぷか吐き散らす間抜けな魚めいて見える───ついでに視界に入った衣裳だの宝石だのを売り飛ばした場合の値を反射的に頭の中で弾き出していたりもする自分は間違いなくこの場に最も相応しからぬ人間だろう。
そして、二番目に場違いな者もそこに。陰湿な好奇にまみれたいくつもの眼差しの向く先、大広間の片隅で貧相な男に寄り添われ佇む女。
半分当たり、半分外れた、かつての予想の結果に苦笑した。
(お似合い、ねえ)
先程自らも悪意たっぷりに追従した言葉ではあるけれど。
心に僅かな澱みが溜まる。扮した身分に沿って撫でつけた髪をなんだか無性にがしがし掻き回したくなった。
……あれの髪は柔らかかったとふと思い出す。触れたのは分化前のことだったから髪質も変化しているかもしれないが。滑らかな肌だった。はかなく細い悲鳴を上げていた。
虚ろの瞳が、自分を嘲笑っていた。
望むものは報復。蹂躙。征服。あれを弄り痛めつけるのに手段を選ぶつもりはない。
だが、最後の最後に壊すのは自分のこの手でだ。
───あてにならない守り手なんぞより、一緒に汚れて落ちていく腐れ縁の方が気楽なんじゃないの、寵愛者様?
虚飾の海に、ぷかりと吐かれた戯言がまたひとつ。
誰に聞かれるともなく、揺蕩い消えた。
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このDOさんは髪オールバックです。(言いたいことはそれだけか)