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P3Pも気になるんだけどまずハードから買わなきゃいけないから……うあー。
続きから、タナッセ愛情EDちょっと前、アンニュイレハ子さん。ごめんまた目隠しじゃないんだ。
今日は朝からずっと雨が降っていた。窓から見える空はどんより灰色に曇り、無数の雨粒を切れ間なく落とし続けている。
水の音、水の匂い。雨は優しい。部屋に籠って何をするでもなく物思いにふける怠惰を赦し慰めてくれる。雨音に包まれ目を閉じて、流石に涙までは出ないけれど、雨の日はそれだけで感傷の理由になる。ああいっそ本当に泣いてしまおうかな。雨の日に泣く女。あざといだろうか。でも、そう。適度な装飾を纏えばそれなりに様になるんじゃないかな。
たとえば。恋、とか。
恋する女。雨の日は涙が出ちゃうの、しくしく。胃もたれしそうな甘ったるさだ。ユリリエに聞かせようものならさぞや優雅に辛辣に笑いのめしてくれることだろう。
僕は目を開けた。
湯気を上らせたティーカップ。ほんのり漂う花の香り。ローニカは僕の振る舞い全てを予期しているみたいな絶妙のタイミングで美味しいお茶を淹れてくれる。特別なことなど何もないように柔和に笑って。そんな彼のことは嫌いじゃない。
「友達のことを考えていたんだ」
両手で包んだカップの熱に、自分の手が存外冷えていたことを知った。唇を寄せて一口飲めば体がほわりと温まる。
いつものように恭しく控えているのであろうローニカの顔はあえて見ない。彼にこの人物の話題を振るのは内容が何であれ少々申し訳なく思ってもいたので。
「大人げなくて、憎ったらしくて、いつも何かに怒ってた。僕みたいに。僕達、全然違うようでよく似てた。一緒にいるとすごく腹が立って、でも同じくらい自由になれた」
顔を合わせれば悪口雑言の披露会。飽きもせず繰り返した意地の張り合い、貶し合い。
───あんな、はにかむような。くすぐったくなるような眼差しで微笑まれるなんて、まるきり想像の外だった。
そこは言い返すところだろう、と思ったのに言えなくて。些細な憎まれ口を紡いだばかりの舌まで固まらせてしまった僕も大概だけれど。
「その御友人とはもうお会いになれないのですか」
「会えるよ。話せるし触れる。きっとそれってすごく幸せなんだよね、ローニカ。彼は生きてて、僕も生きてて、」
死んだのは友情だけだ。
今となっては本当に存在していたのかもわからない、幻のような絆。あのつかず離れずの関係は、あの頃の自分達は、そう。それでもあえて言葉に表すならば、友達だった。壊れてしまってからそう気がついた。
死によって名を得た絆。死んだ。殺された。───殺したのは、彼。
「レハト様」
白いハンカチを差し出されて、僕は自分が涙を流していることに気がついた。
「ありがと……ああ、もう。こんなの、ユリリエには見せられない……」
まあレハト様ったら可愛らしいこと。扇を口元に当てて笑う彼女の幻影が見える。綺麗で聡明な僕の友達。
だけどユリリエ、ひとつだけ言い訳させてもらうならこれは恋に酔った涙じゃない。いつか残滓も消え失せる死した友情を想う涙。雨音に包まれ目を閉じて、きっといつか僕は胸痛ませる思い出も感傷も雨に流して忘れ果ててしまうだろう。
いつか泣かなくなったその時、彼が終わらせた友情は深く深く葬られて、後にはただ漂白された懐かしさと、僕が始めた恋だけが残るのだろう。
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えりにーすさんへの印友が上がり過ぎて気がついたらこんなん書いてた。
このレハトさんは反転前後で背景黄色から紫になってます。(印友も反転したよ的な意味で)